第28回手帳大賞 結果発表

第28回手帳大賞にたくさんのご応募
ありがとうございました。

「名言大賞」に46,324作品、
「アイデア大賞」に2,336作品、
合計48,660作品のご応募の中から、
審査員をみごとにうならせた受賞作品を
発表いたします。

名言大賞 受賞作品

  • 大賞作品

    年はとる物じゃなく、頂く物なのよ。

    荒木 ゆかり あらき ゆかり 40歳 パート (埼玉県)

    【 発言者 】
    職場のおばちゃん
    【 背景 】
    「年をとりたくないなぁー」とみんなで話をしていた時に、仲良しのおばちゃんが言ってくれた言葉。そういう考えもあるんだなと思わされました。
    【 大賞寸評 】
    • この言葉を知っているだけで、人は日々を重ねることを悲しまなくなります。名言です。(いとう)
    • 「頂く」という語を使うことで、年齢を重ねることに対する感謝が伝わってきて、とてもよいもののように意識が変化する。同じ職場の人生の先輩からの言葉の贈り物として、胸に沁みるようにやわらかく受け止められる。(東)
    • 年齢を単なる時間の経過ではなく、人生の贈り物として捉える視点が素晴らしいです。(平野)
  • 特別賞

    ラジオともして

    長谷川 稿史 はせがわ こうし 53歳 自営業 (京都府)

    【 発言者 】
    母親
    【 背景 】
    半身不随でほぼ寝たきりの状態だった母が父に言った言葉です。横で聞いていた私は「なんて綺麗な表現だろう」と感銘を受けました。自由に出歩く事ができない母にとってラジオはまさに「心のともしび」だったのかも知れません。
    【 作品寸評 】
    • 「つける」でなく「ともす」。よい日本語が生まれました。(いとう)
    • 今年私は病気のために家にいることが多くなり、ラジオをよく聴いていた。目を閉じていても耳元で語りかけてくれるような、ラジオ独特の寄り添ってくれる感じが、心の中に光をともしてくれるようだったのだと共感した。(東)
    • 短文の中に、ラジオという音声メディアが、心を照らし暖かさや安心感をもたらす象徴である、という鮮やかな気づきが含まれている。(平野)
  • 特別賞

    足が震えるのは、立ち向かってる証拠や。

    鈴木 陸 すずき りく 29歳 大学院生 (茨城県)

    【 発言者 】
    高校時代の恩師
    【 背景 】
    高校野球をしていた時の初めての大会でピンチを迎え、緊張して足が震えていました。伝令を通して当時の監督さんが言ってくださった言葉です。この言葉を聞いて、自分に自信が持て、全力を出すことができました。
    【 作品寸評 】
    • 言葉の力はすごいですね。こう声をかけられた途端、緊張が力になってしまう。(いとう)
    • 緊張して足が震えてしまうことを、力強くポジティブな方向に導いてくれて、真っ直ぐに心に響く効果がある。さまざまな震えてしまうような体験にも役に立ちそうな普遍性がある。(東)
    • シーンや臨場感が浮かぶ、生きた言葉だなあと思いました。(平野)
  • 特別賞

    「逃げなさい。逃げるなと言われるのは人間だけなのよ」

    鈴木 典子 すずき のりこ 43歳 会社役員 (神奈川県)

    【 発言者 】
    祖母
    【 背景 】
    子どもの頃、いじめにあっていた。行きたくないと言えば母は「逃げたらダメだ」と言った。ある日私はコツコツ貯めた10円玉をポケットに詰めて電話ボックスに駆け込んだ。電話に出た祖母に泣きながら全てを吐き出した。その時祖母が「心や身体を傷つけられるような事があったら逃げなさい。動物は危ないとか怖いって思ったらすぐに逃げるでしょう?逃げるなと言われるのは人間だけなのよ。」と言った。学校に行くことも行かないことも自分で選んで良いのだ。昨年96歳で天に旅立った祖母が遺してくれた宝物です。
    【 作品寸評 】
    • 逃げることで生き延びる。人をすべての生命と並べてとらえる。広い視野です。(いとう)
    • 動物との比較で「逃げる」という言葉を考察している視点がとてもよくて、幼い子どもにも、大人にも、説得力をもって、逃げていいんだ、当然なんだと思わせてくれる。(東)
    • 逃げるということが、生き物として実に自然な反応であることに、ハッとさせられる。たくさんの人の支えになる強い言葉だと思います。(平野)
  • 優秀賞

    「いつか」は自分で迎えに行きなさい

    佐藤 風太 さとう ふうた 30歳 会社員 (愛知県)

    【 発言者 】
    友人
    【 背景 】
    実際にはもっと砕けた口調で言われましたが、現状に不満はあるけれど楽な環境でもあるという状況で、いつか〇〇できたらな、なんて話していたら「いつかって自分で迎えに行かないと掴めないよ」という事を言われハッとしました。それをきっかけに行動を起こして今ではより満足で刺激のある環境に身を置く事ができています。それ以来この言葉を胸に刻んでこれからも忘れずに生きていこうと思っています。
    【 作品寸評 】
    • 見事に易しい言葉で勇気と努力を促します。この簡易さが人を動かす秘訣かもしれません。(いとう)
    • ぼんやりとした「いつか」という願望は、思っているだけでは叶わないのだ。「迎えに行く」という言葉選びが絶妙で、とにかく自分でまず行動しなくては、と、やわらかく背中を押してくれる。(東)
    • 待つのではなく、行動することの大切さを、「いつかを迎えに行く」と表現したことが印象的。(平野)
  • 優秀賞

    だいすきだから、バイバイしてもだいじょうぶ

    大谷 瑞季 おおたに みづき 41歳 会社員 (東京都)

    【 発言者 】
    【 背景 】
    3歳の頃の娘の言葉。おもちゃを整理し、いくつか寄付することにしました。本人に選ばせると一番遊んでいるおもちゃを選びました。なぜかと聞くとこの言葉。もうたくさん遊んで思い出をいっぱい作ったからいなくなっても忘れないし大丈夫なんだそう。まだ遊べていないおもちゃはこれから仲良くするからバイバイしない、と。精一杯仲良く遊べた娘を褒めました。
    【 作品寸評 】
    • 何かを手放すことをどう納得するか。子どもの心から我々大人も学びますね。(いとう)
    • どんなものでも「だいすき」なものと「バイバイ」するのは切ないはずだが、「だいすきだから」という観点が持てる潔さにしびれた。愛についての思考を深めてくれる。(東)
    • 一見矛盾するような言葉だからこそハッとする。子どもは物事の本質を捉える天才だと思わされる一言です。(平野)
  • 優秀賞

    昨日までの自分が大丈夫だって言ってた。

    宮森 愛美 みやもり あいみ 43歳 会社員 (神奈川県)

    【 発言者 】
    【 背景 】
    小学6年生の娘が2月に中学受験をしました。3年の2月から3年間、親子で受験勉強に取り組んできました。2/1の本命校の受験の日には私のほうが落ち着かない状態でしたが、本人は親の心配をよそに、試験中はゾーンに入って集中できたと晴れやかな顔で出てきました。結果は見事合格。その時に言った言葉です。悔しくて泣いたり、つらくてあきらめようとしたこともありましたが、これまでの毎日の積み重ねが大きな自信とパワーになったこと、受験を通して子どもの成長を感じた瞬間でした。
    【 作品寸評 】
    • こうして自分を信じられるのは、もちろんそれまでの努力あってこそ。しかしその自分にかけてあげる言葉があってこそ、努力が生きるのでしょう。(いとう)
    • 大きな試練を目の前にすると誰もが不安になるが、やれるだけのことはやったのだという過去の努力を、「昨日までの自分」として生き生きと擬人化し、自然に肯定的な気持ちになれる。(東)
    • 成長と自己信頼が垣間見える、やわらかくも力強い言葉。(平野)

名言大賞 審査員プロフィール

  • いとうせいこう

    いとうせいこう

    1961年生まれ、東京都出身。1988年に小説「ノーライフキング」でデビュー。1999年、「ボタニカル・ライフ」で第15回講談社エッセイ賞受賞、「想像ラジオ」で第35回野間文芸新人賞受賞。近著に「鼻に挟み撃ち」 『「国境なき医師団」を見に行く』「小説禁止令に賛同する」「今夜、笑いの数を数えましょう」「ど忘れ書道」「ガザ、西岸地区、アンマン」「福島モノローグ」「われらの牧野富太郎!」「今すぐ知りたい日本の電力」「ラジオご歓談!爆笑傑作選」などがある。みうらじゅんとは共作『見仏記』で新たな仏像の鑑賞を発信し、武道館を超満員にするほどの大人気イベント『ザ・スライドショー』をプロデュースする。現在はnoteで「ラジオご歓談!」を配信中。音楽活動においては日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめ、日本語ラップの先駆者の一人である。現在は、ロロロ(クチロロ)、いとうせいこうis the poetで活動。いとうせいこう is the poetファーストアルバム「ITP 1」が発売中。テレビのレギュラー出演に「ビットワールド」(Eテレ)、「楽しく学ぶ!世界動画ニュース」「フリースタイル日本統一」(テレビ朝日)、「新TV見仏記」(関西テレビ)などがある。NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」では主人公が憧れる植物学者里中芳生を演じた。

  • 東 直子

    東 直子

    歌人、作家。1996年「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、2016年『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞受賞。歌集『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説『とりつくしま』、歌書『現代短歌版百人一首 花々は色あせるのね』、エッセイ集『一緒に生きる』、書評集『レモン石鹸泡立てる』、児童書『くまのこのるうくんとおばけのこ』など。最新刊は小説『ひとっこひとり』。「東京新聞」「オール讀物」等の短歌欄選者。

  • 平野 紗季子

    平野 紗季子

    フードエッセイスト、フードディレクター。小学生から食日記をつけ続け、慶應義塾大学在学中に日々の食生活を綴ったブログが話題となり文筆活動をスタート。
    雑誌・文芸誌等で多数連載を持つほか、ラジオ/podcast番組「味な副音声」(J-WAVE)のパーソナリティや、NHK「きみと食べたい」のレギュラー出演、菓子ブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」の代表を務めるなど、食を中心とした活動は多岐にわたる。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『味な店 完全版』(マガジンハウス)など。

アイデア大賞 受賞作品

  • 最優秀賞

    ポジティブ未来日記
    ~明日の自分~

    山口 翔大 やまぐち しょうた 13歳 学生 (石川県)

    【 アイデア概要 】
    「こうなっていたらいいな」というポジティブなことを考えて実際にあったように書く日記。「新しい友達ができた」「お気に入りのくつを見つけた」など、日常的なこと、小さなこと何でもOK。そして、それが達成できるように、その日のやることや目標を追加し、終わったら実際の出来事や感想を書く。これを使えば、これからポジティブで前向きな毎日が送れます。
    【 アピールポイント 】
    1. 「1年」「大学生の間」「一生」などの大きな目標や遠い未来ではなく、前日に「明日」という近い未来のことを書くのがポイント
    2. その日に書いた内容や目標が実現できるよう意識して過ごすことができ、1秒1秒を大切にしたり「1日がんばろう」と思ったりして、その日をわくわくしながら過ごすことができる。結果うまくいかなくても、濃い1日になったと思うことができる
    3. 日常の中での幸せや新たな発見がある。
      1日を振り返ったとき、ささいなことへの喜びを感じられる
    4. 朝起きやすくなる
      「1日がんばろう!」と思って起きた瞬間からスイッチON!
    5. 気分が前向きになる
    6. 次の日にやりたくない嫌なことがあっても、その日の良いことを考える癖がつく。だから、辛いことがあってもポジティブに考えられる!

    実際に今書いているポジティブ未来日記(家にあったノートを使用)

    【 アイデアの背景 】
    2024年、私は「挑」という字を目標にした。新しいことにどんどん挑戦し、自分を高めたいと思っていたから。しかし挑戦には勇気が必要だ。くじけそうになった時、自分に必要なのは「前向きな心」「ポジティブさ」だった。そして、一つずつ確実に進めるうえで次の日という近い未来のことを考えることが大切だと思った。
    実際に、2024年1月1日から書き始め、今でも毎日書き続けている。1月に能登で地震があり、同じ県内のことで不安があったが「大丈夫!」と前向きに思うことができた。学校のテストや部活の試合、日常生活でも前向きに思えるようになった。
    次々新しいことをやろうと思えたり、今がとても楽しかったりと、いいことたくさん! ポジティブで充実した毎日が送れている。
    【 作品寸評 】
    タイトルの通りポジティブな自分になることができる、新しい日記の使い方のアイデアです。能登で大きな地震のあった今年の1月1日から、実際にこの『ポジティブ 未来日記』を書き始められたそうですが、同じ石川県在住ということで、大きな不安もおありだったことでしょう。この日記を記入することで、前向きに過ごすことができたとの力強いメッセージがこの作品にはありました。これからもぜひ前向きに未来を切り拓いていってほしいと思います。
  • 優秀賞

    バインダー式 4年連用日記

    湯澤 葉子 ゆざわ ようこ 60歳 主婦 (東京都)

    【 アイデア概要 】
    オリンピックやパラリンピック、ラグビー、サッカーワールドカップ、4年周期の大会を目指す人、それを応援したい人に、春から大学生になる人、そして、4年後の目的、目標を目指してがんばるすべての人に達成日までを1つのドキュメンタリーのようにまとめられる、これまでどこにもなかった4年連用日記。
    【 アピールポイント 】
    「4年」という点がポイントです。私自身、ラグビーが大好きで、ラグビーワールドカップが4年ごとに開催されるから、4年連用日記を使いたいと考えました。バインダー式は、もっと書き残したいことが増えたときに紙を増量できたり、取っておきたいものをクリアホルダーに入れておけたりという利点があります。
    【 4年連用日記の使い方 】
    • 1年目…大会が終了した翌年の、次の大会に向かうスタートの年。新たな日本代表づくりの様々な取り組みや、大会に向けて自分がどんなことを始めたかなど
    • 2年目…この時点の代表候補の顔ぶれや、開催地情報、チケット情報など
    • 3年目…チケット購入までの経過を記したり、詳細な情報や自分の旅行準備を記入したりなど
    • 4年目…待ちに待った大会開催年。4年間の集大成として大会を楽しみ、それを日記に残す
    【 具体的な仕様案 】
    ●サイズ…A5サイズ
    ●レイアウト
    • 片側に1日分4段(4年分)。日付・曜日入り
    • 4年間のスケジュールを一覧できるページ
    • 年の初めに年頭所感、終わりに年末所感
    • 月の初めに月間予定ページ
    ●バインダー…ソフト仕様で、選べるようにカラフルで透明タイプ。内側に好きなものを挟める

    2023年フランス大会の日記帳。
    2021年から書き始めたため3年連用日記を使用

    2027年オーストラリア大会に向けて
    使っている手作りの4年連用日記帳

    【 作品寸評 】
    湯澤様の思いがあふれる、とても情熱的な作品でした。ラグビーワールドカップへの熱い思いが、「4年」でなければならないという必然性を裏付け、このアイデアを説得力のあるものにしています。高橋書店の連用日記では、2年、3年、5年、10年はありますが、4年連用の商品はありません。この度の作品で4年間という一見中途半端な期間に、こんなにもこだわりを持ったニーズがあることに、目から鱗が落ちる思いでした。

名言大賞 審査員プロフィール

今回、団体応募で
優れた作品を数多く応募してくださった
下記5校には感謝状と
記念品を贈呈いたします。

・協和学院 水沢第一高等学校(岩手県)
・川崎市立中野島中学校(神奈川県)
・川崎市立有馬中学校(神奈川県)
・大山崎町立大山崎中学校(京都府)
・福岡県立朝倉東高等学校(福岡県)